材料力学用語辞典

遅れ破壊【材料力学用語辞典】

zairiki
材料力学用語辞典
  • 材料力学を勉強している人、材料力学を使っている人向け
  • 材料力学に出てくる専門用語を理解しよう!

材料力学用語辞典では、材料力学で出てくる専門用語を分かりやすく紹介しています。今回の用語は「遅れ破壊」です。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

遅れ破壊とは

「ボルトの遅れ破壊」と題したスライド。左側にボルト断面図が描かれており、首下・ねじ山・ナットかみ合い部の3箇所が赤で示されている。右側に「高張力鋼」「引張応力」「応力集中」の3条件が揃うと「遅れ破壊発生」(爆発マーク)となり、事前発見が難しく突然破壊することが記載されている。
ボルトの遅れ破壊。首下・ねじ山・ナットかみ合い部で応力集中が生じやすく、高張力鋼・引張応力・応力集中の3条件が重なったときに発生する。

遅れ破壊とは、静的強度より小さい負荷が高張力鋼のボルトなどに一定時間作用し続けることで、突然脆性的に破壊する現象です。ほとんど変形せずに破壊するため、き裂の進行を事前に発見することが難しく、突然破断するという点が大きな危険性です。

発生には3つの条件が重なる必要があります。材料が高張力鋼(または超高張力鋼)であること、引張応力が作用していること、応力集中する箇所があることです。これらが同時に成立したときに遅れ破壊が生じます。

遅れ破壊の対策

「遅れ破壊の対策」と題したスライド。「金属中の水素を減らすには?」という問いに対して、製造時の対策(酸洗工程やめっき工程での工程方法見直し・工程時間短縮・ベーキングによる水素放出)と使用時の対策(金属表面からの水素侵入を防ぐ塗装・油塗布・腐食環境での使用回避)の2種類が左右の枠に記載されている。
遅れ破壊の対策。製造時と使用時それぞれで金属中の水素量を減らすことが基本方針となる。

遅れ破壊の主なメカニズムは水素脆化です。高張力鋼の内部に水素が貯蔵された状態で、引張応力と応力集中が加わると脆性破壊が生じます。

対策の基本方針は「金属中の水素を減らすこと」です。製造時には酸洗工程やめっき工程の見直し、工程時間の短縮、ベーキング処理による水素放出などが有効です。使用時には塗装や油塗布による水素侵入の防止、および腐食環境での使用を避けることが重要です。材料を遅れ破壊感受性の低いものに変更することも根本的な対策の一つです。

まとめ

「まとめ」と題したスライド。①遅れ破壊とは静的強度より小さい負荷が高張力鋼のボルトなどに一定時間作用したときに突然脆性的に破壊する現象でほとんど変形せずに破壊するため事前に発見し難い、②高張力鋼や超高張力鋼の内部に水素が貯蔵された状態で応力集中する箇所があり引張応力が生じる条件が重なると生じる、③遅れ破壊は材料の変更や製造工程や使用中の水素貯蔵を防ぐことで対策できる、の3点が赤枠なしで記載されている。
遅れ破壊のまとめ。現象の定義、水素脆化による発生条件、および製造・使用面での対策を整理したもの。
  • 遅れ破壊とは、静的強度より小さい負荷が高張力鋼のボルトなどに一定時間作用したときに突然脆性的に破壊する現象。ほとんど変形せずに破壊するため、事前に発見し難い。
  • 高張力鋼の内部に水素が貯蔵された状態で、応力集中する箇所があり、引張応力が生じる条件が重なると発生する。
  • 対策は材料の変更や、製造工程・使用中に水素の侵入・貯蔵を防ぐこと

YouTube動画でより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

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