FEMの要素分割と計算精度:1次要素と2次要素で引張変形を計算したときの計算精度をフリーソフトで確認しよう!
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前回は曲げ変形に対する要素分割の影響を調べ、1次要素では粗い分割で大きな誤差が生じることを確認しました。今回は同じ梁モデルを使って 引張変形 を計算し、曲げ変形との違いを比較します。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. 今回のテーマ:垂直変形(引張)を評価する
前回は1次要素が苦手とする「曲げ変形」を評価しました。今回は1次要素も2次要素も扱いに適しているとされる「垂直変形(引張変形)」を評価します。

- 前回(曲げ変形):1次要素は粗い分割で大きな誤差。2次要素は少ない要素数でも高精度。
- 今回(引張変形):1次要素・2次要素ともに扱いに適しているとされる。実際に確認する。
2. 今回扱う例題
片方の端部を固定し、反対側の端部に 軸方向の引張荷重 を与えた梁を対象にします。前回の曲げ問題と同じ形状・材料ですが、荷重の方向が軸方向(引張)になっています。

この問題を、前回と同じ5段階の要素数で、1次要素と2次要素それぞれ計算し、理論解 0.005 mm(= 5 μm)と比較します。
3. 2次要素による計算例
四面体の2次要素(節点数 9,954・要素数 5,606)で計算した結果、梁は引張方向に均一に変形し、最大変位は 0.005 mm と理論解に一致しました。

4. 1次要素の計算結果
1次要素で5段階の要素分割を計算した結果を示します。

曲げ変形では粗い分割で大きな誤差が生じた1次要素ですが、引張変形では 最も粗い条件(要素数 33)でも 0.005 mm と理論値と高い精度で一致しました。
5. 1次要素と2次要素の比較

2次要素でも同様に、全ての要素数で理論値に高精度で一致しました。引張変形では 1次要素・2次要素のどちらを使っても精度の良い結果 が得られます。これは、引張変形が応力勾配がない変形であり、1次要素でも問題なく扱えるためです。
6. 曲げ変形との比較:問題によって使い分けが重要

前回の曲げ変形と今回の引張変形の2つのグラフを並べると違いが一目瞭然です。1次要素の精度は 扱う変形の種類 によって大きく異なります。曲げ変形が生じる問題では2次要素を選ぶべきであり、引張・圧縮だけの問題であれば1次要素でも十分な精度が得られます。迷ったときは 2次要素を使用してください。
まとめ
- 引張変形の場合、1次要素・2次要素のどちらでも精度の良い結果が得られる。最も粗い分割でも理論値とほぼ一致した。
- 前回の曲げ変形では1次要素が粗い分割で大きな誤差を示したが、引張変形では同じ分割条件でも誤差はほとんどなく、変形の種類によって要素の適性が大きく異なる。
- 扱う問題に応じて適切な要素の種類と分割数を選ぶことが重要。応力解析では、迷ったら2次要素を使用することを推奨する。
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