梁の塑性曲げ【材料力学用語辞典】

zairiki

材料力学用語辞典では、材料力学で出てくる専門用語を分かりやすく紹介しています。今回の用語は「梁の塑性曲げ」です。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

梁の塑性変形の進行と塑性ヒンジ

「梁の塑性曲げ」と題したスライド。左側に曲げモーメントMと梁の曲率の関係グラフが示されており、曲率が増加するにつれてMが非線形に増加し、全塑性状態(塑性ヒンジ)で一定値に収束する曲線が示されている。右側に全塑性状態における断面の応力分布が示されており、断面全体が降伏応力の正負の値に達した一様な応力分布(塑性変形)が矢印で示されている。
梁の塑性曲げ。曲げモーメントが大きくなると断面の塑性域が広がり、断面全体が降伏すると塑性ヒンジが形成される。

材料が弾完全塑性体の梁に曲げモーメントが作用すると、はじめは断面全体が弾性変形します。モーメントが大きくなると、中立軸から最も遠い表面の応力が降伏応力 σy に達して塑性変形が始まります。さらにモーメントが大きくなると塑性域が中立軸へ向かって広がり、最終的に断面全体が降伏します(全塑性)。

全塑性に達した断面は、それ以上の曲げモーメントを支えることができず、ヒンジのように自由に回転できる状態になります。この状態を塑性ヒンジといいます。

塑性崩壊

「梁の塑性曲げ」と題したスライド。①梁全体が弾性変形、②中立軸から遠い箇所から塑性変形、③断面全体が塑性変形、④塑性ヒンジ部で塑性崩壊、の4段階が矢印でつながれたフロー図として示されている。
梁の塑性曲げの進行。弾性変形から始まり、表面から塑性変形が広がり、断面全体が塑性変形すると塑性ヒンジとなり塑性崩壊に至る。

塑性ヒンジが形成されると、そこが起点となって構造が崩壊する塑性崩壊が生じます。ただし、静定はりと不静定はりでは崩壊条件が異なります。

  • 静定はり:塑性ヒンジが1か所生じると構造が不安定になり、塑性崩壊します。
  • 不静定はり:拘束条件が多いため、塑性ヒンジが1か所だけでは崩壊しません。塑性ヒンジが複数か所に生じることで塑性崩壊に至ります。

まとめ

「まとめ」と題したスライド。①梁に曲げモーメントが作用して応力が降伏応力に達すると梁の表面から中立軸に向かって塑性変形が進み弾完全塑性体の場合断面全体が降伏するとそれ以上曲げモーメントを支えられない塑性ヒンジになること、②梁が塑性曲げすると中立軸の位置が変化することがあり除荷しても元の形状には戻らず残留応力が生じること、③静定はりに塑性ヒンジが生じると塑性崩壊し不静定はりは塑性ヒンジが1か所であれば塑性崩壊せず塑性ヒンジが増えることで塑性崩壊に至ること、の3点が記載されている。
梁の塑性曲げのまとめ。
  • 曲げモーメントが大きくなると、梁の表面から中立軸に向かって塑性変形が進む。断面全体が降伏すると塑性ヒンジとなり、それ以上曲げモーメントを支えられなくなる。
  • 塑性曲げでは中立軸の位置が変化することがあり、除荷後も元の形状に戻らず残留応力が生じる。
  • 静定はりでは塑性ヒンジが1か所生じると塑性崩壊する。不静定はりは塑性ヒンジが増えることで塑性崩壊に至る。

YouTube動画でより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

ABOUT ME
生活に役立つ材料力学
生活に役立つ材料力学
材料力学分野の仕事に20年以上従事する博士(工学)が運営しています。
2022年にYoutubeチャンネルを開始し、動画数が増えてきたので探しやすくするために本サイトを開設しました。
ここで紹介する動画以外にもYoutubeには多くの動画が有るので、ぜひチャンネル登録もお願いします。
記事URLをコピーしました