自宅で実験する材料力学

自宅でできるスパゲッティの強度測定。強度測定装置を自作しよう!

zairiki

スパゲッティを袋から取り出したら折れてしまった——そんな経験をきっかけに、「スパゲッティの強度を自宅で測定できないか」と考えました。専門的な試験装置は使わず、ミニ四駆2台とキッチンスケールを活用した測定装置を考案・作成し、実際に強度を測定しました。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 測定方法と装置の考案

スパゲッティが折れるのは主に曲げ変形によるものです。材料の強度は専門的な装置を使って測定することが一般的ですが、今回は身近なものを使って自宅で測定できる方法を考案しました。代表的な曲げ強度試験である4点曲げ試験をするための測定装置に必要な要件と実現方法は下記の通りです。

  • 適切な大きさの荷重をかけられる:スパゲッティ程度であれば手動で十分
  • 位置ずれや傾きを防止できる:ミニ四駆2台を背中合わせに固定した機構を作成。タイヤ(上下方向)とローラー(左右方向)がそれぞれ4か所で筐体に接し、位置ずれ・傾きを防ぎながら押す方向にはスムーズに動く
  • 荷重を測定できる:キッチンスケールの上に装置を載せて荷重を読み取る
「装置の組み立て」スライド。左:白い筐体の中にミニ四駆2台を背中合わせに固定した装置の上面写真。緑のタイヤとローラーが見える。右:4点曲げ試験の概略図。上から赤矢印で荷重をかける上治具(支点間距離20mm)と、オレンジ色の試験体(スパゲッティ)、下治具(支点間距離60mm)の配置を示す断面図。
完成した測定装置(左)と4点曲げ試験の概略図(右)。ミニ四駆2台を背中合わせに筐体に入れることで、位置ずれや傾きを防止しながら上下方向にスムーズに動く機構を実現した。

2. 測定結果

測定対象は日清製粉の直径1.6 mmのスパゲッティ(マ・マー)です。3回の曲げ試験を行い、破壊時の荷重を計測しました。

  • 1回目:154 g で破壊
  • 2回目:137 g で破壊
  • 3回目:151 g で破壊

破壊した荷重を4点曲げの最大応力の式で換算すると、スパゲッティの曲げ強度は33.4〜36.9 MPaと求まりました。各種樹脂の曲げ強度と比較すると、エポキシやABSより小さいものの、ポリウレタンなど強度の小さい樹脂と同程度であることがわかりました。

「各種樹脂の強度との比較」横棒グラフ。横軸は曲げ強度(MPa)で0〜160の範囲。スパゲッティの測定結果(青い短い棒、約33〜37 MPa)と、エポキシ(約80〜150 MPa)、ABS(約65〜75 MPa)、セルロースアセテート(約40〜90 MPa)、ポリプロピレン(約45〜55 MPa)、ポリウレタン注型品(約35〜45 MPa)のオレンジ色の棒を比較。データ出典:機械工学便覧β2。
スパゲッティの曲げ強度(33.4〜36.9 MPa)と各種樹脂の比較。強度の大きいエポキシやABSより小さいが、ポリウレタンなど強度の小さい樹脂と同程度の強度を持つ。

結論

今回の結論。ミニ四駆2台とキッチンスケールを用いた自作装置で、スパゲッティの曲げ強度を精度良く測定できることを確認した。
  • スパゲッティの曲げ強度を自宅で測定するため、ミニ四駆2台とキッチンスケールを活用した4点曲げ試験装置を自作した。
  • 3回の測定結果のばらつきは小さく、自作装置でも精度良く測定できることを確認した。
  • スパゲッティの曲げ強度は33.4〜36.9 MPaで、強度の小さい樹脂(ポリウレタンなど)と同程度であることがわかった。

装置の詳しい作り方・測定手順・応力計算の方法は動画で説明しています。ぜひご覧ください。

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