自宅で実験する材料力学

自宅で金属の疲労試験を実施しよう!疲労強度がCoffin-Manson則に従うことを体感できます。

zairiki
自宅で実験する材料力学
  • 材料力学の実験をして、物の変形や破壊を体感したい人向け
  • 自宅で材料力学を体感しよう!夏休みの自由研究にもお勧め!

1回では壊れない大きさの負荷でも、繰り返し作用すると材料が破壊することがあります。これを疲労破壊といい、振動や温度変化の大きい環境で長期間使用する製品などで課題になる現象です。今回は、専用的な試験装置を使わずに、自宅で金属(はんだ材)の疲労試験を行い、疲労強度がCoffin-Manson則という法則に従うことを体感します。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 試験方法:はんだ材のねじり疲労試験

直径1.6 mmのはんだ材ワイヤをコの字型に曲げて試験片を作ります。一方の端を固定し、もう一方をねじって元に戻す動作を繰り返して破断するまでの回数を数えます。専門的な装置は使わず、手でねじります。ねじり角(180°・360°・720°)の異なる条件で各3回ずつ、合計9回の試験を実施しました。

「自宅でできる疲労試験」スライド。左:ホームセンターで購入したはんだ材の商品パッケージ(HAKKO HEXSOL、Sn60%Pb40%、直径1.6mm)。中央:リール状に巻かれたはんだワイヤの写真。右:ワイヤを短く切ってコの字型に曲げた試験片の写真。
試験材料と試験片。ホームセンターで購入したはんだ材ワイヤをコの字型に曲げて試験片を作製。試験片中央の直線部分をねじり変形させて疲労試験を行う。

2. 試験結果——Coffin-Manson則の確認

各試験で、ねじり角と試験片寸法からせん断ひずみの全振幅Δγを計算し、破断回数Nとの関係を両対数グラフで整理しました。結果は両対数グラフ上で直線に並び、近似式は次のとおりです。

Δγ = 1.56 N−0.53

ひずみ振幅と破断回数の関係が両対数グラフで直線になるこの現象をCoffin-Manson則といいます。指数−0.53は文献値(はんだ材で−0.5に近い値が多い)とよく一致しており、手動の試験でも十分な精度でCoffin-Manson則を確認できました。

「結果の考察」グラフ。両対数グラフ。縦軸:せん断ひずみ(全振幅)Δγ(0.01〜1.0)、横軸:破断回数N(1〜1000)。9点のデータ点が右下がりに分布し、青い直線で近似されている。近似式「Δγ = 1.56N^-0.53」が水色のボックスに表示。
せん断ひずみ全振幅Δγと破断回数Nの両対数グラフ。データ点は直線に沿って分布しており、Coffin-Manson則(Δγ ∝ N−0.53)が成立していることが確認できる。

結論

今回の結論。自作の手動疲労試験でもCoffin-Manson則を確認でき、文献値に近い指数が得られた。
  • 繰り返し負荷で破壊する疲労破壊は、長期使用製品や振動・温度変化の大きい製品などの信頼性に非常に重要な現象。
  • ホームセンターで入手できるはんだ材ワイヤを使い、手動ねじり試験で金属の疲労試験を自宅で実施できる。
  • 3種類のねじり角で各3回試験した結果、ひずみ振幅と破断回数の関係が両対数グラフで直線になるCoffin-Manson則(Δγ = 1.56N−0.53)を確認できた。

YouTube動画でより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。

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