材料力学からさらに踏み込む有限要素法(FEM)の教室【応用編】
- 初級編(中級編も推奨)を見終わって、有限要素法(FEM)を使う人向け
- このシリーズで有限要素法を使いこなそう!
有限要素法(FEM)で変位や応力を計算するとき、陰解法(Implicit法)と陽解法(Explicit法)という2種類の解法があります。扱う問題の種類によって向き不向きがあるため、適切な解法を選ぶことが重要です。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。演習問題を含む詳細は動画をご覧ください。
1. 陰解法(Implicit法)
陰解法は、時刻がT → T+ΔTに進むとき、T+ΔT時刻の連立方程式を実際に解く手法です。
- 各ステップで連立方程式を解くため、1ステップの計算量が多い(特に大規模問題で顕著)。
- 時間増分ΔTを比較的大きくできるため、ゆっくり進む現象を少ないステップ数で計算できる。
- 非線形性が強い問題では収束しないことがある。
これらの特徴から、陰解法は静的や準静的な問題に適した解法です。
陰解法の特徴まとめ。各ステップで連立方程式を解くため計算量は大きいが、時間増分ΔTを大きくとれるため静的・準静的問題に適している。
2. 陽解法(Explicit法)
陽解法は、時刻T+ΔTのマトリクスの対角項以外を0とみなすことで、連立方程式を解かずに次の時刻の状態を求める手法です。ただし、この近似が成り立つのはΔTが非常に小さい場合に限られます。
- 各ステップで連立方程式を解かないため、1ステップの計算量が非常に少ない。
- クーラン条件により時間増分ΔTの上限が決まる。要素が小さいほどΔTも小さくする必要があり、ステップ数が膨大になりやすい。
- 連立方程式を解かないため、非線形性が強い問題を扱いやすい。
これらの特徴から、陽解法は衝突・落下などの短時間の現象や、塑性加工のように非線形性が非常に強い問題に適した解法です。
陽解法の特徴まとめ。連立方程式を解かないため1ステップの計算量は少ないが、クーラン条件によりΔTが非常に小さくなる。衝突・落下・塑性加工などに適している。
まとめ
陰解法と陽解法の比較表。計算量・時間増分・メモリ・代表的な市販ソフトの違い。
- 陰解法:各ステップで連立方程式を解く。1ステップの計算量は多いがΔTを大きくとれる。静的・準静的な問題に適する(ABAQUS/Standard、Ansys Mechanicalなど)。
- 陽解法:連立方程式を解かずにステップを進める。1ステップの計算量は少ないがΔTが非常に小さくなる。衝突・落下・塑性加工など非線形性が強い問題に適する(Ansys LS-DYNA、ABAQUS/Explicitなど)。
- 総計算時間はどちらが多いかは問題次第。扱う問題に応じて解法を自分で選択する必要があり、間違った解法を選ぶと計算が収束しなかったり、計算時間が膨大になることがある。
より詳細な説明や演習問題をYouTube動画で解説しています。ぜひご覧ください。
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