ねじり変形とは?回転する変形を知ろう!

zairiki
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材料力学の教室・第14回です。ドライブシャフトやスタビライザーなど、回転力を伝える機械部品では ねじり変形 が重要な役割を果たします。今回はねじり変形のしくみや、棒に生じる せん断応力ねじり角 を求める式を紹介します。演習問題で中実断面・中空断面の計算をしましょう。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. ねじり変形とは

梁の中央からオフセットした位置に下向きの荷重が1つだけ作用すると、せん断変形・曲げ変形・ねじり変形の3種類が混在してしまいます。ねじり変形だけを取り出して考えるには、偶力(大きさが等しく向きが逆の2つの力の対) を使います。

偶力だけが作用するとき、せん断変形や曲げ変形は生じず、純粋なねじり変形のみ が発生します。このとき棒に作用するモーメントを ねじりモーメント T といいます。

偶力による純ねじり変形
偶力(反対向きの等しい力の対)が作用するとき、ねじり変形のみが生じる。このときのモーメントをねじりモーメント T という

棒の側面の正方形を見ると、ねじりモーメントで 平行四辺形 に変形します。これはせん断変形と同じ形です。つまりねじり変形の本質は せん断変形 です。

2. ねじり変形で生じるせん断応力

丸棒の中心と表面をつなぐ直線は、ねじりモーメントによって直線を保ったまま回転します。そのため、中心からの距離 r に比例してせん断変形が大きく なります。このときに生じるせん断応力 τ の式は次のとおりです。

ねじり変形のせん断応力 τ = Tr/Ip
ねじり変形のせん断応力の式:τ = Tr / Ip(T:ねじりモーメント、r:中心からの距離、Ip:断面二次極モーメント)
  • T:ねじりモーメント(荷重条件で決まる)
  • r:中心軸からの距離(r が大きいほど応力も大きい)
  • Ip:断面二次極モーメント(断面形状で決まる。大きいほどねじりにくい)

r が最大になる 棒の表面(r = D/2)で最大せん断応力 が発生します。

3. 断面二次極モーメント Ip

断面二次極モーメント Ip は断面形状で決まる値で、曲げ変形における断面二次モーメントと同様の役割を果たします。直径 D の中実円形断面では次の式になります。

中実円形断面の断面二次極モーメント Ip = πD⁴/32
中実円形断面の断面二次極モーメント:Ip = πD⁴/32(直径の4乗に比例→太いほどねじりにくい)

外径 D・内径 D₀ の 中空円形断面 では、Ip = π(D⁴ − D₀⁴)/32 となります。

4. ねじり角

ねじりモーメント T によって棒がどのくらい回転するかを表すのが ねじり角 θ です。棒全体のねじり角は横弾性係数 G を使って次の式で求められます。

棒全体のねじり角 θ = TL/(GIp)
棒全体のねじり角の式:θall = TL / (GIp)(T:ねじりモーメント、L:棒の長さ、G:横弾性係数、Ip:断面二次極モーメント)
  • T が大きいほど・L が長いほど → ねじり角が大きくなる
  • G(材料の硬さ)が大きいほど・Ip(断面)が大きいほど → ねじり角が小さくなる
  • 中実円の Ip = πD⁴/32 を代入すると、ねじり角は 直径の4乗に反比例 する

5. ねじり変形の実用例

ねじり変形は様々な機械部品で活用されています。

ねじり変形の実用例(ドライブシャフト・スタビライザー)
ねじり変形の実用例:ドライブシャフトはエンジンの回転力をタイヤへ、スタビライザーはねじり剛性で車の姿勢を安定させる
  • ドライブシャフト・プロペラシャフト:ギヤボックスからタイヤへ駆動力をねじりモーメントとして伝達する
  • スタビライザー:左右のサスペンションをつなぎ、片側のタイヤが動いたときにねじり変形で反対側にも力を伝えて車の姿勢を安定させる
  • せん断試験:ねじり変形は純粋なせん断変形であるため、材料のせん断特性・疲労強度の測定にも使われる

6. 演習問題1:中実丸棒のねじり角

問題:長さ 1000 mm・直径 20 mm の丸棒の片端を固定し、先端に 100 N·m のねじりモーメントを作用させる。横弾性係数 G = 77 GPa のとき、棒全体のねじり角はいくつか。

解答手順:

  1. Ip = πD⁴/32 = π × 20⁴ / 32 ≒ 15708 mm⁴
  2. θall = TL / (GIp) に各値を代入(単位を mm に統一)
演習問題1の答え(ねじり角 4.74°)
演習問題1 の答え:θall ≒ 0.0827 rad = 4.74°

7. 演習問題2:中空丸棒のねじり角を同じにする外径

問題:演習問題1と同じ条件(T、L、G は同じ)で、断面を内径 18 mm の中空円形に変更する。ねじり角を演習問題1と同じにするには、外径 D をいくつにすればよいか。

解答:ねじり角を同じにするには Ip を同じ(15708 mm⁴)にすればよい。中空円の Ip = π(D⁴ − 18⁴)/32 = 15708 を解くと、

演習問題2の答え(外径 D = 22.7 mm)
演習問題2 の答え:外径 D ≒ 22.7 mm(中実の 20 mm より大きくなる)

同じねじり角でも、中実(D=20 mm)と中空(D=22.7 mm、D₀=18 mm)では 断面積・重量・最大せん断応力 が異なります。実際の製品では用途に応じてこの違いを活用します。例えば、中空スタビライザーを採用することで、中実と同じ剛性を保ちながら軽量化を実現している自動車があります。

まとめ

  • ねじり変形は、ねじりモーメントによって生じる純粋なせん断変形。偶力が作用するときにねじり変形のみを取り出して考えられる。
  • せん断応力:τ = Tr / Ip(r:中心からの距離。棒の表面 r = D/2 で最大)
  • 断面二次極モーメント:中実円 Ip = πD⁴/32、中空円 Ip = π(D⁴ − D₀⁴)/32
  • ねじり角:θall = TL / (GIp)。直径を2倍にすると Ip は16倍になりねじり角は 1/16 に減少する。
  • ドライブシャフト・スタビライザー・ばねなど、ねじり変形は身近な機械部品で広く活用されている。

このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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