応力とひずみの関係とは?フックの法則や縦弾性係数を使いこなそう!
- これから材料力学を勉強したい人や復習したい人向け
- このシリーズで材料力学の基礎を理解しよう!
「材料力学の教室【初級編】」の第4回です。前回まで応力とひずみを学んできましたが、今回はその関係を見ていきます。応力-ひずみ線図、フックの法則、そして縦弾性係数(ヤング率)を、典型的な材料の値とあわせて説明します。また、同じ形状・同じ荷重でも材料が違うとどう変わるかを演習問題で確認します。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. 応力-ひずみ線図と弾性変形・塑性変形
棒に引張力をかけると、力の大きさに応じて応力もひずみも大きくなります。縦軸を応力、横軸をひずみとしてグラフを描いたものが応力-ひずみ線図です。たとえば鉄鋼材料では、次のような曲線になります。

荷重が小さいうちは、応力とひずみは線形(比例)の関係で増加します。ある応力を超えると線形の関係が崩れますが、この限界の応力を降伏応力と言います。降伏応力以降の曲線の形は、鉄鋼/銅・アルミ/高分子材料などで様々ですが、降伏応力までは、どの材料でも線形です。
降伏応力で2つの領域に分けると、降伏応力までの領域で起こる変形を「弾性変形」、降伏応力以降の領域で起こる変形を「塑性変形」と言います。今回は弾性変形を扱います。

2. フックの法則と縦弾性係数(ヤング率)
弾性変形の範囲で応力とひずみが線形になることを、フックの法則と言います。そして、この線形な直線の傾きを縦弾性係数(またはヤング率)と言い、一般に大文字の Eで表します。
応力をσ、ひずみをεとすると、弾性変形範囲の応力-ひずみ関係は次のように書けます。
σ = E ε

3. 縦弾性係数の意味と材料による違い
縦弾性係数の値は材料によって異なるため、応力-ひずみ線図の傾きも材料によって変わります。金属のような硬い材料は縦弾性係数が大きく、傾きが急になります。一方、ゴムのような柔らかい材料は縦弾性係数が小さく、傾きが緩やかです。
これは、同じ力で引張ったときに、硬い材料はひずみが小さく変形しにくく、柔らかい材料はひずみが大きく変形しやすいことを表しています。

典型的な縦弾性係数の値
縦弾性係数は、応力を無次元のひずみで割ったものなので、応力と同じ次元(PaやMPaなど)を持ちます。代表的な値は次の通りです。
- 金属:数10~数100 GPa(例:鉄 約200 GPa、アルミ 約70 GPa)
- 樹脂:数100 MPa~数 GPa(例:エポキシ 約3 GPa、テフロン 約500 MPa)
- ゴム:数 MPa~数10 MPa

ここに挙げた数値はあくまで目安です。たとえば「テフロン樹脂」と言っても種類によって値が変わります。実際に材料を使うときは必ずその材料の縦弾性係数を確認してください。
4. 演習:同じ形状・同じ荷重でも材料が違うとどうなるか
長さ100 mm、断面1辺2 mmの正方形角棒を100 Nで引張ります。材料を鉄(E=200 GPa)とテフロン樹脂(E=500 MPa)でそれぞれ用意したとき、応力・ひずみ・変位はどうなるでしょうか?
応力(演習問題1)
応力は「内力 / 断面積」なので、どちらの棒も
σ = 100 N / (2 × 2 mm²) = 25 MPa
形状と荷重が同じであれば、材料が違っても応力は同じになります。
ひずみと変位(演習問題2)
ひずみは、フックの法則 σ=Eε を変形して ε = σ/E。変位は ε × 元の長さ で求まります。
鉄の棒:
ε = 25 MPa / 200,000 MPa = 1.25 × 10⁻⁴
変位 = 1.25 × 10⁻⁴ × 100 mm = 1.25 × 10⁻² mm
テフロン樹脂の棒:
ε = 25 MPa / 500 MPa = 0.05
変位 = 0.05 × 100 mm = 5.0 mm
結果のまとめ
2つの棒の値を並べると、次のようになります。

このように、材料が異なる同じ形状に同じ荷重が作用するとき、応力は変わらず、ひずみと変位は 1/縦弾性係数 に比例します。「縦弾性係数の違い = 変形しにくさの違い」が定量的に分かりますね。
まとめ
- 応力-ひずみ線図のうち、降伏応力までの線形領域で起こる変形が「弾性変形」、それ以降が「塑性変形」。
- 弾性変形の範囲で応力とひずみが線形になることをフックの法則と言い、傾きを縦弾性係数(ヤング率)Eという。σ = Eε。
- 金属は数10~数100 GPa、樹脂は数100 MPa~数 GPa、ゴムは数~数10 MPaが目安。
- 同じ形状・同じ荷重でも、材料が違えばひずみと変位は 1/縦弾性係数に比例して変わる。応力は変わらない。
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