材料の強度とは?破壊を防止できる条件を知ろう!
- これから材料力学を勉強したい人や復習したい人向け
- このシリーズで材料力学の基礎を理解しよう!
材料力学の教室・15回目です。これまでの回で引張・せん断・曲げ・ねじり・座屈など様々な変形と、それぞれに生じる応力の求め方を学んできました。では、求めた応力はどのように使うのでしょうか。最も重要な使い方は 破壊が起きるかどうかの判断 です。今回は応力と「材料の強度」の関係、安全率の考え方、そして強度の主な種類を紹介します。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. 材料の強度とは ― 破壊の限界
部材に荷重がかかると変形が生じ、内部に応力が発生します。この応力が 材料の限界値 に達したとき、部材は破壊します。この限界値のことを 材料の強度 といいます。

したがって、破壊を防ぐには 部材に生じる応力を材料の強度より小さく 保てばよいことになります。
2. 安全率 ― ばらつきを考慮した設計
現実には、材料の強度にも応力にも ばらつき があります。
- 強度のばらつき:材料内部に欠陥があったり、結晶粒や転位などのミクロ組織が一定ではないため
- 応力のばらつき:作用する荷重の大きさや部材の寸法にばらつきがあるため
このばらつきによって「応力 < 強度」という条件が逆転し、想定外の破壊が起きる恐れがあります。そこで設計では応力に 安全率 をかけて余裕を持たせます。

安全率が小さすぎると破壊リスクが高まり、大きすぎると過剰品質・重量増加につながります。製品の用途・使用環境・信頼性要求に応じて適切な値を選ぶことが重要です。
3. 強度の種類
「強度」と一口に言っても、荷重のかかり方や使用環境によって様々な種類があります。ここでは 代表的な4つ を紹介します。
3-1. 静的強度
荷重をゆっくりと増やしていき、部材が破断するときの応力の限界値です。最も基本的な強度で、単純な引張試験などで求められます。

3-2. 疲労強度
静的強度より 小さい荷重 でも、繰り返し かかり続けると破壊することがあります。この限界値を疲労強度といいます。

- 自動車・エンジン部品など 使用回数が多く振動を受ける機械 で特に重要
- パソコンなど温度変化による熱応力が繰り返し生じる機械でも課題になる
3-3. クリープ破断強度
静的強度より小さい荷重であっても、長時間かけ続ける と破壊することがあります。これをクリープ破断といい、その限界値をクリープ破断強度といいます。

- クリープは 高温(概ね融点の50%以上の絶対温度)で起きやすい
- 航空機エンジンのタービンブレード・発電所のタービンなど、高温下で遠心力を受け続ける部品で特に重要
3-4. 衝撃強度
荷重が 瞬間的に 作用すると、静的強度より高い応力で破壊することがあります。この限界値を衝撃強度といいます。衝撃強度は応力ではなく、破断に要した エネルギー で評価することが一般的です。

- 自動車の衝突安全性・スマートフォンの落下試験などで重要
強度の種類まとめ

| 強度の種類 | 荷重の特徴 | 代表的な用途・課題 |
|---|---|---|
| 静的強度 | ゆっくり増加 | 基本設計全般・引張試験で測定 |
| 疲労強度 | 繰り返し荷重(小〜中) | 自動車・エンジン・振動機械 |
| クリープ破断強度 | 長時間の持続荷重(高温) | 航空機エンジン・発電タービン |
| 衝撃強度 | 瞬間的な大荷重 | 衝突安全・落下試験 |
まとめ
- 部材に生じる応力が 材料の強度(限界値)に達すると破壊する。破壊を防ぐには「応力 < 強度」を満たす設計が必要。
- 強度・応力どちらにもばらつきがあるため、設計では 安全率(>1)を用いて余裕を持たせる(許容応力 = 強度 ÷ 安全率)。
- 静的強度:ゆっくりした荷重に対する強度。最も基本的な指標。
- 疲労強度:繰り返し荷重に対する強度。静的強度より小さい荷重でも破壊する。
- クリープ破断強度:高温下での長時間荷重に対する強度。高温機器の設計で重要。
- 衝撃強度:瞬間的な荷重に対する強度。エネルギーで評価することが多い。
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