せん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)とは?梁に作用する負荷を可視化しよう!
- これから材料力学を勉強したい人や復習したい人向け
- このシリーズで材料力学の基礎を理解しよう!
「材料力学の教室【初級編】」の第11回です。梁のたわみや強度を計算するには、断面に作用するせん断力と曲げモーメントの分布を把握することが出発点になります。今回はその分布を可視化するせん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)の描き方を、片持ち梁と単純支持梁の2タイプで学び、演習問題で定着させます。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. SFD・BMDとは何か ― なぜ必要か
梁に横方向の荷重が作用すると、せん断変形(ひし形変形)と曲げ変形(湾曲)が生じます。それぞれ次の内力が支配的です。
- せん断変形 ← せん断力(Shearing Force)が支配
- 曲げ変形 ← 曲げモーメント(Bending Moment)が支配

梁全体でせん断力や曲げモーメントがどのように分布するかを図示したものがSFD(Shearing Force Diagram)とBMD(Bending Moment Diagram)です。これらを描くことで、荷重がどこにどう効いているかが一目で分かります。
2. せん断力図(SFD)の描き方
SFD を描く手順は次の2ステップです。
- 梁に作用する外力・反力を書き出す
- 端から仮想断面を移動しながら、断面より外側の力の合計をグラフにプロット
2-1. 片持ち梁(先端荷重 −F)の SFD
長さ L の片持ち梁の先端に下向き荷重 −F が作用するとき、仮想断面から先端側を見ると荷重 −F だけが作用します。先端から根本までどこで切っても値は変わらないので、SFD は−F で一定です。

2-2. 単純支持梁(中央荷重 −F)の SFD
両端を単純支持した梁の中央に −F が作用するとき、左右の支点にはF/2 の反力が等分に生じます。左端から仮想断面を動かすと:
- x < L/2 のとき:断面より左の力 = +F/2 → SFD = +F/2
- x = L/2 で荷重 −F が加わる → F/2 + (−F) = −F/2 に急変
- x > L/2 では −F/2 のまま右端まで一定

荷重が複数あるときは、端から順に現れる荷重を累積加算していけば SFD が完成します。
3. 曲げモーメント図(BMD)の描き方
BMD を描く手順も SFD と同様です。ただし、仮想断面に作用する曲げモーメントは力 × 距離で求める点が異なります。
3-1. 片持ち梁(先端荷重 −F)の BMD
先端から距離 x の仮想断面に作用する曲げモーメントは、先端の力 −F と距離 x の積で M = −Fx です。x が大きくなるほど線形に増加し、根本では M = −FL になります。

3-2. 単純支持梁(中央荷重 −F)の BMD
左端から距離 x の位置の曲げモーメントを求めると:
- x < L/2 のとき:左端反力 F/2 と距離 x の積 → M = Fx/2(線形増加)
- x = L/2(中央):M = FL/4(最大値)
- x > L/2 のとき:左端反力と中央荷重の両方を考慮すると線形減少 → 右端で M = 0

4. 演習問題1:片持ち梁の2箇所に集中荷重
問題:長さ L の片持ち梁の先端と中央に、それぞれ下向き荷重 −F が作用するときの SFD と BMD を描きましょう。
解答:先端からの距離 x について、
- x < L/2:先端の荷重のみ → SFD = −F、BMD = −Fx
- x > L/2:先端と中央の2荷重 → SFD = −2F、BMD = −Fx − F(x − L/2)
根本(x = L)での曲げモーメントは −FL − FL/2 = −3FL/2 になります。中央から根本にかけて勾配が急になるのが特徴です。

5. 演習問題2:片持ち梁に分布荷重
問題:長さ L の片持ち梁に、単位長さあたり −w の均一分布荷重が全体に作用するときの SFD と BMD を描きましょう。
解答:先端から距離 x の範囲に作用する合力は −wx なので、
- SFD:合力 = −wx → x に比例して増加(線形、根本で −wL)
- BMD:各微小領域 dt の寄与 −wt dt を 0〜x で積分 → M = −wx²/2(2次曲線、根本で −wL²/2)

集中荷重が複数あるときは各荷重のせん断力・曲げモーメントを累積加算、分布荷重のときは積分して求めます。分布荷重が増えるほど BMD の次数が1つ上がるイメージです。
まとめ
- SFD(せん断力図):梁に作用するせん断力の分布を示した図。英語では Shearing Force Diagram。
- BMD(曲げモーメント図):梁に作用する曲げモーメントの分布を示した図。英語では Bending Moment Diagram。
- 描き方の手順:① 外力・反力を書き出す → ② 端から仮想断面を動かし、外側の力の合計(SFD)または力×距離の合計(BMD)をグラフ化。
- 集中荷重が複数あるときは累積加算、分布荷重があるときは積分して求める。
- 片持ち梁(先端荷重)の SFD は一定値、BMD は線形。単純支持梁(中央荷重)の SFD は中央で反転、BMD は三角形分布。
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