せん断応力やせん断ひずみとは?色々な向きの応力やひずみを使いこなそう!

zairiki
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「材料力学の教室【初級編】」の第7回です。これまで扱ってきた応力・ひずみは、実は「垂直」応力・ひずみと呼ばれるもので、これとは別にせん断応力・せん断ひずみがあります。今回はこの2つと、せん断方向のフックの法則および横弾性係数を説明します。実際に計算する演習問題も扱います。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 垂直応力とせん断応力

応力には垂直応力せん断応力の2種類があります。違いは仮想断面に対して内力がどの向きに働くかです。

  • 垂直応力 σ:仮想断面に垂直な内力を断面積で割ったもの(引張・圧縮)
  • せん断応力 τ:仮想断面に平行な内力を断面積で割ったもの(ひし形にずらす力)

どちらも「内力 / 断面積」で求まる点は共通です。

垂直応力 σ とせん断応力 τ の定義
垂直応力 σ とせん断応力 τ = どちらも「内力/断面積」だが、内力の向きが違う

3次元での応力成分(全6種類)

3次元の問題で考える応力は、xyz座標系では次の6種類です。

  • 垂直応力(3種類):σx、σy、σz
  • せん断応力(3種類):τxy、τyz、τzx(添字は応力が生じる面の方向を表す)
3次元の応力成分6種類
3次元の応力は σx, σy, σz と τxy, τyz, τzx の6種類

2. 垂直ひずみとせん断ひずみ

ひずみにも、応力と同じく垂直ひずみせん断ひずみがあります。どちらも変位 / 元の長さで求める点は共通で、変形の形が違うだけです。

  • 垂直ひずみ ε:引張や圧縮で生じる伸び縮みの変位を、元の長さで割ったもの
  • せん断ひずみ γ:せん断荷重を受けてひし形に変形したときのずれ(せん断変位)を、せん断方向の高さで割ったもの
垂直ひずみ ε とせん断ひずみ γ の定義
垂直ひずみ ε とせん断ひずみ γ = どちらも「変位/元の長さ」

ひずみも応力と同じく、3次元では6種類(垂直ひずみ εx, εy, εz とせん断ひずみ γxy, γyz, γzx)があります。

3. せん断方向のフックの法則と横弾性係数 G

垂直方向では、弾性変形の範囲でσ = Eε(フックの法則)が成り立ちました。せん断方向でも、同じ形の式が成り立ちます。

τ = G × γ

この比例係数G横弾性係数(剛性率、せん断弾性係数)と言います。垂直方向の縦弾性係数 E と並ぶ、もう一つの代表的な弾性定数です。

等方性材料(どの方向も性質が同じ材料)の場合、横弾性係数 G は縦弾性係数 E とポアソン比 ν を使って次のように表せます。

G = E / { 2 (1 + ν) }

σ=Eε と τ=Gγ、および G=E/(2(1+ν))
垂直方向の σ=Eε とせん断方向の τ=Gγ。等方性材料では G = E / {2(1+ν)}

4. 演習:垂直方向とせん断方向を比べる

下面を固定された角棒(長さ30 mm、断面1辺10 mmの正方形)を対象とします。材料をE=20 GPa、G=7.7 GPa、ν=0.3とします。

演習問題1:z方向(軸方向)に100 N の荷重が作用するとき

問題:上面に z方向の引張荷重 100 N が作用するとき、垂直応力(σx, σy, σz)と垂直ひずみ(εx, εy, εz)はそれぞれいくつでしょうか?

解答(応力):z方向の応力は「荷重/断面積」で、

σz = 100 N / (10 × 10 mm²) = 1 MPa、 σx = σy 0

解答(ひずみ):z方向のひずみはフックの法則 ε=σ/E より、

εz = 1 MPa / 20,000 MPa = 5×10⁻⁵

x, y方向には荷重がありませんが、ポアソン比分のひずみが生じます。

εx = εy = −νεz = −0.3 × 5×10⁻⁵ = −1.5×10⁻⁵

※ 動画の答えでは符号を省略して 1.5×10⁻⁵ と表記していますが、引張で直交方向は縮むので符号はが正しい解釈です。

演習問題1の答え 垂直応力と垂直ひずみ
演習問題1の答え:σz=1 MPa、εz=5×10⁻⁵、直交方向にはポアソン比分のひずみ

演習問題2:x方向(せん断方向)に100 Nの荷重が作用するとき

問題:同じ角棒の上面にx方向のせん断荷重 100 N が作用するとき(曲げ変形は考えず、ひし形にせん断変形のみ)、せん断応力(τxy, τyz, τzx)とせん断ひずみ(γxy, γyz, γzx)はそれぞれいくつでしょうか?

解答(応力):zx面方向のせん断応力は、

τzx = 100 N / (10 × 10 mm²) = 1 MPa、 τxy = τyz0

解答(ひずみ):せん断方向のフックの法則 γ=τ/G より、

γzx = 1 MPa / 7,700 MPa ≒ 1.3×10⁻⁴、 γxy = γyz0

演習問題2の答え せん断応力とせん断ひずみ
演習問題2の答え:τzx=1 MPa、γzx=1.3×10⁻⁴。せん断ひずみにポアソン比の影響なし

垂直ひずみにはポアソン比の影響があり、荷重方向に直交する方向にもひずみが生じます。一方、せん断ひずみにはポアソン比の影響がなく、応力が生じている面でだけひずみが生じます。これが垂直方向とせん断方向の大きな違いです。

まとめ

  • 応力には垂直応力 σとせん断応力 τ がある。3次元では合わせて6種類(σx, σy, σz, τxy, τyz, τzx)。
  • ひずみにも垂直ひずみ εとせん断ひずみ γ がある。3次元では合わせて6種類(εx, εy, εz, γxy, γyz, γzx)。
  • せん断方向のフックの法則はτ = Gγ。比例係数G横弾性係数と言う。
  • 等方性材料ではG = E / {2(1+ν)}。E とポアソン比が決まれば G 計算できる。
  • 垂直ひずみにはポアソン比の影響あり、せん断ひずみにはポアソン比の影響なし

このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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