自宅で無料で使える有限要素法(FEM)
- 自宅パソコンで無料で有限要素法を使ってみたい人向け
- 有限要素法を使いこなして生活や仕事に活かそう!
有限要素法(FEM)は複雑な形状の変形・応力分布を計算できる強力な手法です。実際に自分で使ってみたい方のために、無料で使えるFEMソフト を7種類比較し、Windowsのノートパソコンで動かせるものを選びました。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. 有限要素法(FEM)とは ― 復習
有限要素法は、現実にある複雑な形状の変形や応力分布などを求めることができる計算手法です。大きく3つのステップで進みます。
- モデル化:解析対象の形状・固定条件・荷重・材料を決める
- 離散化:解析対象を細かい要素に分割し、計算空間上に表現する
- 計算・評価:要素の変形を組み合わせて全体変形を求め、強度や剛性を評価する
有限要素法のワークフロー:複雑な形状を細かい要素に分割し、全体の変形・応力を数値計算で求める
2. ソフト選びの条件
今回は次の5つの条件を満たすソフトを探します。
- ① 無料 で使用できる
- ② Windows(ノートパソコン)で動く
- ③ 陰解法(静的問題に適す解法)が使える
- ④ 非線形問題(材料・大変形・接触)を扱える
- ⑤ 専用の PRE/POST 機能(メッシュ作成や結果表示の機能)がある
陰解法はゆっくりとした静的変形向き、陽解法は衝突・衝撃などの動的変形向きです。今回は汎用性の高い陰解法を対象にします。
3. 候補ソフト7種類
今回比較する7つの無料FEMソフト:Adventure、FrontISTR、CodeAster、Calculix、Elmer、Impact、WARP3D
- Adventure:東京大学開発。大規模計算向き。Windows版は機能限定。
- FrontISTR:東京大学開発。PCクラスタ向きで並列処理が得意。
- CodeAster:フランスEDF社開発。PRE/POSTはSalomeを使用。
- Calculix:ドイツMTU社メンバ開発。ABAQUS互換の書式。PRE/POSTはPrePoMaxが便利。
- Elmer:フィンランド開発。流体・電磁場などマルチフィジックス向き。応力計算は弾性問題のみ。
- Impact:陽解法ソフト。衝突・塑性加工問題向き。
- WARP3D:イリノイ大学開発。き裂解析向き。PRE/POST機能なし。
4. 比較結果
7種類のFEMソフト比較表:5つの条件に対する対応状況(○:対応 △:一部対応 ×:非対応)
| ソフト名 | ①無料 | ②Windows | ③陰解法 | ④非線形 | ⑤PRE/POST |
|---|
| Adventure | ○ | △ | ○ | × | ○ |
| FrontISTR | ○ | △ | ○ | ○ | ○ |
| CodeAster | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Calculix | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Elmer | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
| Impact | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
| WARP3D | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
全条件が○になったのは CodeAster と Calculix の2つです。しかしCodeAsterはWindowsへのインストール後にエラーが発生し、FEM計算ができませんでした。そのためCodeAsterの使用は保留とし、Calculix(+PrePoMax) を採用します。
5. Calculixで計算を確認
動作確認として、先端に集中荷重が作用する片持ち梁の変形を計算しました。
Calculixによる片持ち梁の変形計算結果:応力分布がカラーコンターで表示される
Calculixによる最大たわみ = 0.02 mm。材料力学の梁モデルによる理論解とも一致し、正しく計算できることを確認
6. PrePoMaxのインストール方法
PrePoMaxのインストール:ZIPファイルをダウンロード・解凍して実行ファイルをダブルクリックするだけ(特別なインストール作業不要)
PrePoMaxには Calculix が同梱されています。インストール手順は次のとおりです。
- PrePoMaxの公式サイトを開き、「DOWNLOADS」をクリックしてZIPファイルをダウンロードする
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍する
- フォルダ内の実行ファイル「PrePoMax」をダブルクリックして起動する(インストール不要)
まとめ
FEMソフト選定のまとめ:5つの条件をすべて満たしたCalculix(PrePoMax)を採用
- 自宅で使える無料FEMソフトを、①無料・②Windows対応・③陰解法・④非線形対応・⑤専用PRE/POST あり、の5条件で7種類を比較した。
- 全条件を満たし、実際に動作を確認できたのは Calculix(PrePoMax)。
- Calculixを使った片持ち梁の検証計算で材料力学の理論解と一致する結果(最大たわみ 0.02 mm)を確認。今後このチャンネルではCalculixを使った解析を紹介していく予定。
このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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