熱変形と線膨張係数【材料力学用語辞典】
- 材料力学を勉強している人、材料力学を使っている人向け
- 材料力学に出てくる専門用語を理解しよう!
材料力学用語辞典では、材料力学で出てくる専門用語を分かりやすく紹介しています。今回の用語は「熱変形・線膨張係数」です。
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熱変形・熱ひずみとは

材料に温度変化が生じると、材料は膨張または収縮します。この温度変化によって生じる変形を「熱変形」と言います。熱変形は金属・樹脂・セラミックスなど、どんな固体材料にも生じる現象です。
温度変化によって生じるひずみを「熱ひずみ」と言います。元の長さを L₀、温度変化後の長さを L₁ とすると、熱ひずみ ε は ε = (L₁ − L₀) / L₀ と定義されます。熱ひずみは長さ方向だけでなく、全方向に生じる点が特徴です。等方性材料の円柱の場合、長さ方向の熱ひずみが正(温度上昇)のときは直径方向の熱ひずみも正となり、全体的に大きくなります。
温度変化量と熱ひずみの関係は線形(比例)であり、その傾きを「線膨張係数」(記号 α)と言います。線膨張係数を使うと、熱ひずみは ε = α × ΔT(ΔT は温度変化量)と表せます。線膨張係数の単位は 1/℃(または 1/K)で表され、値が大きいほど同じ温度変化に対して大きく変形することを意味します。
各材料の線膨張係数と熱変形の例

線膨張係数は材料毎に異なります。一般的な傾向として、セラミックス < 金属 < 樹脂 < ゴムの順に大きくなります。代表的な値は、シリコン:3 × 10⁻⁶/℃、アルミナ:7 × 10⁻⁶/℃、ガラス・鉄・コンクリート:約 8〜12 × 10⁻⁶/℃、アルミ:23 × 10⁻⁶/℃、エポキシ:50 × 10⁻⁶/℃、テフロン:100 × 10⁻⁶/℃、シリコーンゴム:300 × 10⁻⁶/℃ です。異なる材料を組み合わせて使う場合、線膨張係数の差が大きいと接合部での熱応力や剥離の原因になるため、材料選定の重要な指標となります。
熱変形は身近な場面でも役立っています。ガラス瓶のアルミ製の蓋が開きにくいときにお湯につけると蓋が開けやすくなるのは、線膨張係数の大きいアルミがガラスより大きく膨張するためです。一方、熱変形が課題になる場面も多くあります。鉄道のレールは夏の高温で膨張するため、熱変形を逃がす隙間を設ける必要があります。自動車エンジンでは燃焼による高温でピストンやシリンダーが変形するため、各部品の線膨張係数を考慮した設計が必要です。ボルト・ナットの締結では、温度変化によって締結力が変化することがあります。
まとめ

- 熱変形:温度変化によって生じる変形。
- 熱ひずみ:温度変化によって生じるひずみ。全方向に生じる。
- 線膨張係数(α):温度と熱ひずみの関係の傾き。材料固有の定数。
- 熱ひずみ = 線膨張係数 × 温度変化量(ε = α × ΔT)。

- 線膨張係数は材料毎に異なり、一般的にセラミックス < 金属 < 樹脂 < ゴムの順に大きくなる。異種材料を組み合わせる際は線膨張係数の差に注意が必要。
- 熱変形は瓶の蓋を開けやすくするなど身近で役立つ一方、鉄道レール・自動車エンジン・ボルト締結など様々な製品・構造物で設計上の課題となる。
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