3次元弾性体の応力とひずみとは?これまでの内容をまとめよう!
- これから材料力学を勉強したい人や復習したい人向け
- このシリーズで材料力学の基礎を理解しよう!
「材料力学の教室【初級編】」の第8回です。今回は、これまで第4〜7回で紹介した縦弾性係数 E・横弾性係数 G・ポアソン比 ν・線膨張係数 αの4つの効果を、3次元弾性体の応力-ひずみ関係式にまとめます。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。
1. これまでの復習
まずこれまでの内容を振り返ります。3次元の応力・ひずみは、xyz座標系で垂直成分3つ+せん断成分3つ=合計6種類ありました。
1-1. 垂直応力とフックの法則・ポアソン比
x方向に垂直応力 σx が生じると、弾性変形の範囲ではフックの法則により、x方向のひずみは次のようになります。
σx = E × εx ⇔ εx = σx / E
このとき、荷重と直交する y, z 方向には荷重がありませんが、ポアソン比 ν の効果でひずみが生じます。
εy = εz = −ν εx = −ν σx / E

1-2. せん断応力とせん断方向のフックの法則
せん断応力 τxy が生じるときは、せん断方向のフックの法則によって、
τxy = G × γxy ⇔ γxy = τxy / G
となります。せん断方向にはポアソン比の影響がないので、τxy が生じても γyz や γzx は0のままです。

1-3. 温度変化と熱ひずみ
部材の温度が ΔT 変化すると、線膨張係数 α によって全方向の垂直ひずみが等しく増加します。温度変化はせん断ひずみには影響しません。
εx = εy = εz = α ΔT、 γxy = γyz = γzx = 0
2. 3次元弾性体の応力-ひずみ関係
ひずみが小さいときは、複数の効果を重ね合わせることができます。垂直応力 σx, σy, σz、せん断応力 τxy, τyz, τzx、温度変化 ΔT が同時に生じても、それぞれの効果を足せばよいだけです。
この考え方で、3次元弾性体の応力-ひずみ関係は次の6本の式にまとまります。
εx = { σx − ν ( σy + σz ) } / E + α ΔT
εy = { σy − ν ( σz + σx ) } / E + α ΔT
εz = { σz − ν ( σx + σy ) } / E + α ΔT
γxy = τxy / G、 γyz = τyz / G、 γzx = τzx / G

この6本の式は、縦弾性係数 E・横弾性係数 G・ポアソン比 ν・線膨張係数 α の4つの効果をすべて含んでいます。3次元問題を考えるときはまずこの式を書けば、応力からひずみ(あるいはひずみから応力)を機械的に計算できます。
3. 演習問題1:x, y方向に同じ大きさの引張
問題:縦弾性係数 E=200 GPa、ポアソン比 ν=0.3 の部材に、σx=σy=1 MPa が生じています(z方向は自由、温度変化なし)。応力 σz, τxy, τyz, τzx と、ひずみ εx, εy, εz, γxy, γyz, γzx をそれぞれ求めましょう。
応力(自由な方向は0)
z方向には荷重がなく自由に変形できるのでσz=0、せん断方向にも荷重がないのでτxy=τyz=τzx=0です。せん断応力が0なら、せん断ひずみも全部0になります。
γxy = γyz = γzx = 0
垂直ひずみ
公式に値を代入します(E=200,000 MPa、ν=0.3、ΔT=0、σx=σy=1 MPa、σz=0)。
εx = { 1 − 0.3 × ( 1 + 0 ) } / 200,000 = 0.7 / 200,000 = 3.5×10⁻⁶
εy = 3.5×10⁻⁶ (x, y は対称)
εz = { 0 − 0.3 × ( 1 + 1 ) } / 200,000 = −0.6 / 200,000 = −3×10⁻⁶

z方向には荷重がなくても、ポアソン比分の変形が生じている点がポイントです。
4. 演習問題2:x方向を拘束して温度上昇 ― 熱応力
問題:同じ部材(E=200 GPa、ν=0.3)に、線膨張係数 α=10×10⁻⁶/℃ を加えた条件で、x方向の変位を拘束(εx=0)したまま温度を ΔT=+100℃ 上昇させます。応力とひずみを求めましょう。

自由方向の応力は0
y, z方向は自由に変形できるのでσy=σz=0、せん断方向も自由なのでτxy=τyz=τzx=0、せん断ひずみも全部0です。
x方向の式から σx を求める(熱応力の発生)
公式の εx の式に εx=0、σy=σz=0、ΔT=100 を代入します。
0 = { σx − 0.3 × ( 0 + 0 ) } / 200,000 + 10×10⁻⁶ × 100
σx = −200,000 × 10⁻³ = −200 MPa

このように、変形を拘束した状態で温度変化させると、外力がなくても応力が生じます。これを熱応力と言います。実際の機械や構造物では、ボルト締結部や異種金属の接合部などで課題になる重要な現象です。
y, z方向のひずみ
εy の式に σx=−200 MPa、σy=σz=0、ΔT=100 を代入します。
εy = { 0 − 0.3 × ( 0 + ( −200 ) ) } / 200,000 + 10×10⁻⁶ × 100
= 3×10⁻⁴ + 1×10⁻³ = 1.3×10⁻³
εz = 1.3×10⁻³ (y, z は対称)
x方向の圧縮応力(熱応力)によって、ポアソン比の効果で y, z方向に変形を生んでいることが分かります。
まとめ

- 3次元弾性体の応力-ひずみ関係は、垂直成分3本+せん断成分3本の合計6本の式でまとまる。
- 垂直ひずみ ε にはE, ν, αの効果、せん断ひずみ γ にはGの効果が関係する。せん断にはポアソン比も温度の影響もない。
- εx = {σx − ν(σy+σz)} / E + αΔT (他も同様)、γxy = τxy / G。
- 自由に変形できる方向の応力は0、拘束された方向のひずみは0として、6本の式に代入すれば全成分が機械的に求まる。
- 変形を拘束した状態で温度変化すると熱応力が発生する。実機の異種金属接合やボルト締結部で重要な現象。
このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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