梁の曲げ変形とは?せん断変形と曲げ変形の違いを理解しよう!

zairiki
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「材料力学の教室【初級編】」の第9回です。梁に荷重を作用させると、せん断変形曲げ変形が生じます。今回は、これまでに紹介してきたせん断変形を復習しつつ、たわみの微分方程式を使って曲げ変形を求める方法、両者の長さ依存性を説明します。実際に計算する演習問題も扱います。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 梁の2種類の変形:せん断変形と曲げ変形

下図のように、片持ち梁の先端に下向きの荷重 F を加えると、梁には2種類の変形が同時に生じます。

  • せん断変形:梁全体がひし形にずれる変形
  • 曲げ変形:梁の上側が伸びて下側が縮み、湾曲する変形
梁の2種類の変形:せん断変形と曲げ変形
梁には「せん断変形(ひし形)」と「曲げ変形(湾曲)」の2種類の変形が生じる

せん断変形はこれまでの回で紹介したものなので、簡単に復習してから曲げ変形に入ります。

2. せん断変形の復習

長さ L、断面積 A の片持ち梁の先端に荷重 F を作用させたとき、せん断応力 τ とせん断ひずみ γ は、横弾性係数 G を使って次のように表されます。

τ = F / A、 γ = τ / G = F / ( A G )

先端のせん断変位 uは γ × L なので、

u = γ L = F L / ( A G )

せん断変位 u=FL/(AG)
片持ち梁のせん断変位 u = FL/(AG)(長さ L に比例

せん断変位は長さLの1乗に比例します。

3. 曲げ変形の求め方 ― たわみの微分方程式

曲げ変形によって生じる変位(たわみ)y は、固定端から距離 x の位置で次の微分方程式によって決まります。

d²y / dx² = – M / ( E I )

たわみの微分方程式 d²y/dx²=M/(EI)
たわみの微分方程式 = 梁の曲げ変形を求める出発点となる重要な式
  • M:その断面に作用する曲げモーメント(位置 x の関数)
  • E:材料で決まる縦弾性係数
  • I:断面形状で決まる断面二次モーメント

3-1. 断面二次モーメント I のイメージ

断面二次モーメントは断面形状で決まる量で、値が大きいほど曲がりにくいことを表します。同じ板でも、向きを変えるだけで断面二次モーメントが変わるので、曲がりやすさが大きく変わります。

同じ板でも向きで曲がりやすさが違う
同じ板でも、立てて使うか寝かせて使うかで断面二次モーメントが変わり、曲がりやすさが変わる

材料が均一で断面が一定の梁では、EI は定数として扱えます。詳しい断面二次モーメントの求め方は今後の回で紹介します。

3-2. 片持ち梁のたわみの求め方

先端からの距離 x の位置に作用する曲げモーメントは M = −F x です。これを微分方程式に代入して2回積分すると、たわみ角 dy/dx とたわみ y の式が得られます。積分するたびに積分定数 C₁、C₂ が出てくるので、これを境界条件で決めます。

片持ち梁の根本(x = L)ではたわみ y = 0、たわみ角 dy/dx = 0なので、これを使って積分定数を決めると、たわみ y の式が完成します。

3-3. 最大たわみの式

最大たわみは梁の先端(x = 0)で生じ、次のような式になります。

u’ = F L³ / ( 3 E I )

最大たわみ u'=FL³/(3EI)
片持ち梁の先端の最大たわみ u’ = FL³/(3EI)(長さ L の3乗に比例)

曲げ変位は長さLの3乗に比例するため、長さの影響を非常に強く受けるのが特徴です。

4. 演習:せん断変形 vs 曲げ変形

同じ片持ち梁に対して、せん断変形と曲げ変形の最大変位がどう違うかを比べてみましょう。

共通条件:断面 = 直径 10 mm の丸棒、E = 200 GPa、G = 77 GPa、先端荷重 F = 1000 N、梁の長さ L = 1, 10, 100 mm の3パターン。

演習問題1:せん断変位

せん断変位の式 u = FL/(AG) に値を代入します。断面積 A = π × (10/2)² ≒ 78.5 mm²、AG ≒ 78.5 × 77,000 N ≒ 6.05 × 10⁶ N。

L (mm)せん断変位 u (mm)
11.7×10⁻⁴
101.7×10⁻³
1001.7×10⁻²

L が10倍になると、せん断変位も10倍になります(L の1乗に比例)。

演習問題2:曲げ変位

曲げ変位の式 u’ = FL³/(3EI) を使います。直径 D の円形断面の断面二次モーメントは I = π D⁴ / 64 なので、D = 10 mm では I ≒ 491 mm⁴、3EI ≒ 3 × 200,000 × 491 ≒ 2.95 × 10⁸ N·mm²。

L (mm)曲げ変位 u’ (mm)
13.4×10⁻⁶
103.4×10⁻³
1003.4
演習問題2の答えの表 曲げ変位
演習問題2の答え:曲げ変位は L が10倍になると1000倍になる(L の3乗に比例)

L が10倍になると、曲げ変位は1000倍になります。せん断変位とは桁の伸び方がまるで違いますね。

5. せん断変位と曲げ変位の比較

せん断変位と曲げ変位を、長さ L に対して両対数グラフで描くと次のようになります。どちらも直線になりますが、傾きが違います。

  • せん断変位 u = FL/(AG):L の1乗
  • 曲げ変位 u’ = FL³/(3EI):L の3乗
長さLに対するせん断変位と曲げ変位の比較(両対数)
L に対するせん断変位(傾き1)と曲げ変位(傾き3)の比較。L ≒ 7 mm 付近で逆転する

今回の例(直径 10 mm の丸棒)では、L ≒ 7 mm 付近で2つの変位が交差します。
L が断面寸法より十分短い → せん断変形が主
L が断面寸法より十分長い → 曲げ変形が主

まとめ

  • 長さLの片持ち梁の先端に下向き荷重が作用すると、せん断変形曲げ変形が生じる。
  • 曲げ変形のたわみ y は微分方程式 d²y/dx² = – M/(EI) で決まる。M は曲げモーメント、E は縦弾性係数、I は断面二次モーメント。
  • 断面二次モーメント I は断面形状で決まる量で、大きいほど曲がりにくい。
  • 片持ち梁の最大たわみは u’ = F L³/(3 E I)。せん断変位は u = F L/(A G)
  • 長さ L に対し、せん断は1乗、曲げは3乗で効く。短い梁はせん断、長い梁は曲げが主。

このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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