カスティリアノの定理とは?構造の変形を計算し易くなる定理です!

zairiki
一歩踏み込む材料力学の教室【中級編】
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複雑な形状の部材に複数の荷重が作用するとき、それぞれの荷重点の変位を個別に求めるのは容易ではありません。「カスティリアノの定理」を使えば、部材全体のひずみエネルギーを荷重で偏微分するだけで変位が求まります。この記事では定理の考え方と活用方法を説明します。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。演習問題を含む詳細は動画をご覧ください。

1. 変位とひずみエネルギーの関係

棒を弾性変形させるとき、荷重 F と変位 u は線形に増加するため、外力の仕事(=ひずみエネルギー U)は荷重-変位グラフの三角形の面積で求まります(U = Fu/2)。

この関係を逆に考えると、ひずみエネルギーを荷重で微分すると変位が求まります。すなわち、u = dU/dF です。この「ひずみエネルギーを荷重で微分すると変位が得られる」という関係が、カスティリアノの定理の出発点です。

「変位とひずみエネルギーの関係」のスライド。左:「荷重と変位の関係を積分=ひずみエネルギー」→「ひずみエネルギーを荷重で微分=変位」の関係を示し、u = dU/dF の式が記載されている。右:荷重F・変位uの関係グラフ(線形)でピンク色の三角形の面積がひずみエネルギーを表している。
変位とひずみエネルギーの関係。荷重-変位グラフの面積がひずみエネルギーであり、ひずみエネルギーを荷重で微分すると変位 u = dU/dF が求まる。

2. カスティリアノの定理

上の関係を一般化します。固定部を持つ任意形状の部材に複数の荷重 Fi が作用するとき、部材全体のひずみエネルギーを U とすると、荷重 Fi の作用点における変位 ui は次式で求まります。

ui = ∂U/∂Fi

これがカスティリアノの定理です。ひずみエネルギーを求め、着目する荷重で偏微分するだけで変位が得られるため、複雑な形状や複数荷重が作用する構造にも系統的に適用できます。

棒の引張・梁の曲げなど変形モードが異なる場合も、それぞれのひずみエネルギー(引張:F²L/2AE、曲げ:∫M²/2EIz dx)を合算して偏微分することで変位が求まります。複数部材で構成されるトラス構造など、複雑な構造にも適用できます。

「カスティリアノの定理」のスライド。左:一部が固定された任意形状の部材に複数の荷重F1・F2が作用し変位u1・u2が生じている図。右:カスティリアノの定理の式「u_i = ∂U/∂F_i」(青枠で強調)と変数の説明(Fi:荷重、ui:変位、U:ひずみエネルギー)。
カスティリアノの定理。任意形状・複数荷重に対して、ひずみエネルギー U を荷重 F_i で偏微分すると荷重点の変位 u_i が求まる。

まとめ

「まとめ」スライド。①部材の変位は部材に蓄えられるひずみエネルギーを荷重で偏微分すると求まる。これを「カスティリアノの定理」という。②長さL・断面積A・断面二次モーメントIzの梁を荷重Fで引張る時と曲げモーメントMで曲げる時のひずみエネルギーはそれぞれF²L/2AE・∫₀ᴸM²/2EIz dx で、これを荷重で偏微分すると変位が求まる。③カスティリアノの定理は複数部材の構造にも適用可。
カスティリアノの定理のまとめ。定義・ひずみエネルギーの式・複数部材への適用を整理したスライド。
  • 荷重と変位の関係を積分するとひずみエネルギー U が求まることを逆に考えれば、ひずみエネルギーを荷重で微分すると変位が求まる。つまり、u = dU/dFが導かれる。
  • これを複数荷重に一般化したものがカスティリアノの定理ui = ∂U/∂Fi(変位=ひずみエネルギーを各荷重で偏微分)。
  • 引張(U = F²L/2AE)・曲げ(U = ∫M²/2EIz dx)など変形モードごとのひずみエネルギーを合算し、偏微分すれば変位が求まる。
  • 複雑な形状・複数部材(トラス等)にも系統的に適用でき、力のつり合いや微分方程式だけでは扱いにくい問題を解く強力な手法。

より詳細な説明や演習問題をYouTube動画で紹介しています。ぜひご覧ください。

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