一歩踏み込む材料力学の教室【中級編】
- 初級編「ここから始める!材料力学の教」を見終わった人向け
- このシリーズで材料力学の踏み込んだ内容を理解しよう!
材料に大きな力を加えると、力を取り除いても元の形に戻らない変形が生じます。これが「塑性変形」です。塑性変形は弾性変形の限界を超えたときに生じる非線形な変形で、荷重を除いても永久ひずみ(塑性ひずみ)が残ります。この記事では塑性変形の定義・メカニズム・特徴を説明します。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。演習問題を含む詳細は動画をご覧ください。
1. 塑性変形とは
丸棒を引張ると、はじめは応力とひずみが線形に増加します。このときの変形が弾性変形で、荷重を取り除けば元の形に戻ります。
しかし、限界(降伏応力)を超えると線形な関係が崩れ、非線形な変形が生じます。これが塑性変形です。塑性変形が生じた後に荷重を取り除くと、応力-ひずみ関係は縦弾性係数の傾きで減少しますが、応力が0になってもひずみは0に戻りません。この残ったひずみを塑性ひずみと言います。
応力-ひずみ曲線における弾性変形(線形)と塑性変形(非線形)の関係。降伏応力を超えると塑性変形が生じ、除荷後も塑性ひずみが残る。
2. 塑性変形のメカニズムと特徴
材料をミクロに見ると、変形のメカニズムが分かります。
- 弾性変形:引張り方向に原子間隔が広がることで生じる変形。荷重を取り除くと間隔が元に戻るため、形状も元に戻る。
- 塑性変形:原子間隔が広がれる限界を超えると、原子の配置がズレることで生じる変形。荷重を取り除いても配置のズレは残るため、永久ひずみが生じる。
原子の数は変わらず間隔だけが元に戻るため、塑性変形では体積変化が生じないことも重要な特徴です(弾性変形では原子間隔の変化により体積が変化する)。
塑性変形に関連する用語も押さえておきましょう。
- 降伏:弾性変形から塑性変形に変化する現象。降伏するときの応力を降伏応力と言う。
- 加工硬化(ひずみ硬化):塑性変形によって応力が降伏応力以上に増加する現象。
塑性変形のメカニズム。原子配置がズレた状態で除荷すると、原子間隔は元に戻るが配置のズレは残り、塑性ひずみとして現れる。
まとめ
塑性変形のまとめ。定義・メカニズム・降伏と加工硬化・荷重条件による応力とひずみの違いを整理したスライド。
- 弾性変形は原子間隔の変化で生じる変形、塑性変形は原子配置のズレで生じる変形。塑性変形では体積変化しない。
- 塑性変形後に除荷すると、応力やひずみは縦弾性係数の傾きで(弾性的に)減少する。応力が0になっても残るひずみが塑性ひずみ。
- 弾性変形から塑性変形に変化する現象を降伏、降伏するときの応力を降伏応力、塑性変形で応力が降伏応力以上に増加することを加工硬化(ひずみ硬化)と言う。
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