疲労限度設計と有限寿命設計とは?製品を設計する時の疲労強度の扱い方です!

zairiki
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製品を設計するとき、繰り返し荷重による疲労破壊をどのように防ぐかは重要な課題です。設計時の疲労強度の考え方は大きく2つに分けられます。生じる応力を疲労限度以下に抑える「疲労限度設計」と、疲労限度より大きい応力を許容しつつ有限な使用回数内で破断しないようにする「有限寿命設計」です。この記事では両者の考え方と製品に合った設計方針の選び方を説明します。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。演習問題を含む詳細は動画をご覧ください。

1. 疲労限度設計と有限寿命設計

繰り返し負荷が何回加わっても破断しない応力振幅の限界値を「疲労限度」と言います(炭素鋼などで明確に現れる)。この疲労限度を基準に、設計の方針は次の2つに分けられます。

  • 疲労限度設計:生じる応力振幅を疲労限度以下に抑える設計。設計通りの使い方であれば永久に疲労破壊しない。負荷の回数が不明でも適用できる。ただし過剰品質になりがちで、小型軽量化が難しくなる場合がある。
  • 有限寿命設計:疲労限度より大きい応力を許容し、製品の使用期間中(有限な回数以内)で破断しないように設計する方法。小型軽量化やコスト低減に有効で、壊れ方(破断する場所)をあらかじめ決めておける。ただし、負荷の回数を正確に把握する必要があり、寿命が限られる。
「設計時の疲労強度の考え方」のスライド。左:疲労限度設計(生じる応力を疲労限度以下にする設計)と有限寿命設計(疲労限度より大きい応力を許容し有限な回数内で破断しない設計)の定義テキスト。右:S-N曲線(縦軸=応力振幅、横軸=破断回数)グラフ。疲労限度以下の領域(ピンク)が疲労限度設計の範囲、疲労限度より大きい右下がりの領域(緑)が有限寿命設計の範囲として示されている。
設計時の疲労強度の考え方。S-N曲線のピンク領域(疲労限度以下)が疲労限度設計、緑領域(疲労限度より大で有限回数)が有限寿命設計の対象範囲。

2. どちらの設計方針を選ぶか

有限寿命設計が適しているかどうかは、次のフローチャートで判断できます。

  1. 負荷が分かり、107回未満か?——Noなら疲労限度設計(負荷回数の見積もりが困難、または回数が多すぎる場合)
  2. 小型軽量化が重要か?——Noなら疲労限度設計(軽量化の必要性が低ければ限界を攻めるメリットが少ない)
  3. 定期メンテナンスがあるか?——Yesなら有限寿命設計。Noなら次へ
  4. 疲労以外の要因で製品寿命が決まるか?——Yesなら有限寿命設計、Noなら疲労限度設計

なお、疲労限度設計を採用する場合でも、いつかはどこかで壊れるため、壊れたときに安全に停止する設計を組み合わせることが重要です。

「製品毎の設計方針」のスライド。判断フローチャート。「負荷が分かり10^7回未満」→Yes→「小型軽量化が重要」→Yes→「定期メンテあり」→Yes→有限寿命設計(ピンク)。「定期メンテあり」→No→「寿命が別の要因で決定」→Yes→有限寿命設計、No→疲労限度設計(緑)。各段階でNoになると疲労限度設計へ。
製品毎の設計方針フローチャート。負荷の把握可否・小型軽量化の重要性・定期メンテの有無・寿命の決まり方から疲労限度設計と有限寿命設計を使い分ける。

まとめ

「まとめ」スライド。①設計するときの疲労強度の考え方を大きく分類すると疲労限度設計と有限寿命設計がある。②疲労限度設計は応力を疲労限度以下にする設計で、有限寿命設計は疲労限度より大きい応力を許容し有限な回数内で破断しない設計。③負荷の大きさや回数を把握でき、小型軽量化が重要で、定期メンテしたり疲労以外の要因で寿命が決まる製品は有限寿命設計が適し、その他は疲労限度設計が適す。疲労限度設計の場合、安全に停止させることが重要。
疲労限度設計と有限寿命設計のまとめ。定義・使い分けの判断基準・疲労限度設計時の注意点。
  • 疲労限度設計:応力振幅を疲労限度以下に抑え、永久に疲労破壊しないようにする設計。負荷回数が不明でも適用可能だが、過剰品質になりやすい。
  • 有限寿命設計:疲労限度より大きい応力を許容し、有限な使用回数内で破断しないようにする設計。小型軽量化・コスト低減に有効だが、負荷回数の把握が必須で製品寿命に限界がある。
  • 有限寿命設計が適するのは「負荷が分かり107回未満・小型軽量化重要・定期メンテあり or 寿命が疲労以外の要因で決まる」製品。多くの製品では疲労限度設計が基本となる。
  • 疲労限度設計を採用する場合も、壊れたときに安全に停止できるよう設計しておくことが重要。

より詳細な説明や演習問題をYouTube動画で紹介しています。ぜひご覧ください。

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