有限要素法(FEM)のフリーソフトCalculixで複数部材の構造の応力を計算しよう!

zairiki
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今回は、有限要素法(FEM)ソフト Calculix(PrePoMax)を使って、複数の部材で構成された構造の応力解析を行う方法を紹介します。部材ごとに異なる材料を設定し、部材間の接続条件を定義する手順など、複数部材ならではのポイントを中心に解説します。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 今回の例題

今回の例題は、2種類の異なる材料で出来た片持ち梁です。根本側の部材を部材1、先端側を部材2とします。両者の形状(長さ50 mm、高さ10 mm、幅10 mm)は同じですが、縦弾性係数が2桁異なります。部材1は鉄に近い 200 GPa、部材2は樹脂に近い 2 GPa です。この梁の先端に 100 N の荷重をかけたときの変形と応力分布を計算します。

今回の例題:部材1(200GPa)と部材2(2GPa)からなる片持ち梁。両部材とも50×10×10mm、先端に100N荷重
今回の例題。部材1(縦弾性係数 200 GPa、鉄に近い値)と部材2(2 GPa、樹脂に近い値)からなる片持ち梁。寸法は同じで材料物性値のみ異なる。

2. 材料物性値の設定(Materials)

複数部材の解析では、部材の数だけ材料を定義する必要があります。「Materials」をダブルクリックし、「Elastic」を選択して縦弾性係数とポアソン比を入力します。部材1の値を入力して「OK」を押すと「Material-1」が作成されます。続けて同じ操作で部材2の値を入力し「Material-2」を定義します。

PrePoMaxの材料設定画面:Material-1が作成された状態。ツリーにMaterials(1)としてMaterial-1が表示されている
部材1の材料(Material-1)定義完了の状態。同様の操作を繰り返して部材2の材料(Material-2)も定義する。

3. 各部材への材料の割り当て

材料を定義したら、各部材とその材料を紐づける必要があります。「Sections」をダブルクリックし、Type が「Solid Section」、材料が「Material-1」になっていることを確認してマウスで部材1を選択して「OK」を押します。続けて「Sections」をダブルクリックし、今度は材料を「Material-2」に変更して部材2を選択します。この操作により、部材ごとに異なる材料が割り当てられます。

PrePoMaxのSection設定画面:部材1とMaterial-1の紐づけが完了。ツリーにSections(1)としてSolid_section-1が表示され、部材1がハイライトされている
Sectionの設定完了。部材1とMaterial-1の紐づけが完了した状態。同様に部材2にはMaterial-2を割り当てる。

4. 部材間の接続設定

複数部材の解析では、部材と部材が繋がっていることを明示的に設定する必要があります。これを設定しないと部材がバラバラに動いてしまい、計算が収束しません。「Constraints」を右クリック → 「Search Contact pairs」を選択し、「Search」をクリックすると接触面の組み合わせが自動検索されます。検出された接触ペアで「Tie」が選択されていることを確認して「OK」を押します。Tie拘束は、対応する位置の変位を同じにする条件で、面が繋がっていることを意味します。

PrePoMaxのContact pairs設定画面:TypeがTieに設定されていることを確認。3Dビューでは部材1と部材2の接続面がピンク色でハイライトされている
Tie拘束の設定。「Type」が「Tie」になっていることを確認して「OK」を選択する。これが複数部材解析で必須の設定で、設定しないと計算が収束しない。

5. 計算結果:変位分布

Caliculxでの計算方法は1部材のときと同じです。計算後に「Results」を選択すると変位分布が表示されます。部材1(200 GPa)は変形が小さく、部材2(2 GPa)は変形が大きくなっています。縦弾性係数が 100 倍異なるため、変形量の差が明確に現れています。荷重に近い先端(部材2)側で変位が大きく、色のグラデーションで両者の境界がはっきり分かります。

計算結果の変位分布:部材1(200GPa)側は変形小(青色)、部材2(2GPa)側は変形大(緑〜赤色)。梁全体が下方向に曲がっており、先端側ほど変位が大きい
変位分布の計算結果。部材1(200 GPa)は変形が小さく青色、部材2(2 GPa)は変形が大きく黄〜赤色。縦弾性係数の比が変形の違いとして現れる。

6. 計算結果:応力分布

x方向応力(S11)の分布を見ると、梁の上部では引張応力、下部では圧縮応力が生じています。また、部材1側で応力が大きく、部材2側では小さいです。これは、曲げ応力が縦弾性係数ではなく曲げモーメントで決まるためです。部材1は固定端に近く曲げモーメントが大きいため応力が大きく、部材2は荷重点に近く曲げモーメントが小さいため応力も小さくなります。

計算結果の応力分布(S11):梁上部で引張応力大(部材1側)、梁下部で圧縮応力大(部材1側)。部材2側では応力が小さい(緑色)
S11(x方向応力)の分布。梁の上部は引張、下部は圧縮で、部材1側で応力が大きく部材2側では小さい。曲げ応力は曲げモーメントで決まり、縦弾性係数には影響されない。

まとめ

まとめ。複数部材の解析では、材料の部材ごとの設定と部材間のTie拘束設定が不可欠。
  • FEMで複数部材の構造を扱うときは、部材の数だけ材料を定義し、「Sections」で各部材に材料を紐づける必要がある。
  • 部材と部材が繋がっている箇所にはTie拘束(「Constraints」→「Search Contact pairs」→「Tie」)を設定する。これを設定しないと部材がバラバラに動いて計算が収束しない。
  • 変位は縦弾性係数が小さい部材(部材2)で大きくなる。曲げ応力は曲げモーメントで決まり縦弾性係数には影響されないため、固定端に近い部材1側で応力が大きくなる。
  • 複数部材を扱えるようになると、実際の製品のような複雑な構造の変形や応力分布を計算できる対象が大きく広がる。

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