曲げ応力とは?曲げ変形で生じる応力を知ろう!

zairiki
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材料力学の教室・第12回です。梁が曲げ変形するとき、断面の各位置にはどんな応力が、どれだけの大きさで生じるのでしょうか。今回は 曲げ応力 の式を導き、最大応力が発生する場所の求め方を紹介します。さらに 断面係数 を紹介し、演習問題も扱います。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 曲げ応力の式 ― σ = My/I

片持ち梁の先端に下向き荷重が作用すると、梁は曲げ変形します。このとき梁の内部には次のような応力分布が生じます。

  • 梁の上側(引張側):引張応力(正)
  • 梁の中央:応力 = 0(この面を 中立軸 という)
  • 梁の下側(圧縮側):圧縮応力(負)

断面の図心に原点をとると、中立軸からの距離 y に比例して曲げ応力 σ が変化します。式で表すと次のようになります。

曲げ応力の式 σ=My/I
曲げ応力の式:σ = My/I(M:曲げモーメント、I:断面二次モーメント、y:中立軸からの距離)

ここで、

  • M:仮想断面に作用する曲げモーメント
  • I:断面二次モーメント(断面形状で決まる)
  • y:中立軸(断面図心)からの距離

y が大きいほど応力が大きくなるため、最大応力(最大引張応力)は上面、最小応力(最大圧縮応力)は下面 で発生します。

2. 最大曲げ応力とその発生位置

2-1. 最大曲げ応力の式

断面の高さを H とすると、中立軸からの最大距離は H/2 です。これを σ = My/I に代入すると、最大曲げ応力の式が得られます。

最大曲げ応力の式 σmax=M·(H/2)/I
最大曲げ応力の式:σmax = M·(H/2)/I(最外縁 y = H/2 に代入)

2-2. 最大応力の発生場所

σmax は曲げモーメント M に比例するため、M が最大の断面で σmax も最大になります。曲げモーメント図(BMD)を描けば、どの断面が危険かを一目で判断できます。

片持ち梁(先端荷重 −F)の場合:

  • BMD を見ると、根本で曲げモーメントが最大(M = FL)
  • その断面の上面(y = +H/2)で引張の最大応力、下面(y = −H/2)で圧縮の最大応力が生じる
最大曲げ応力の発生位置(根本・上面)
片持ち梁(先端荷重)の最大曲げ応力は根本の上面(引張)・下面(圧縮)で発生する

3. 断面係数 Z ― 断面の強さを表す指標

最大曲げ応力の式 σmax = M·(H/2)/I において、I と H/2 は断面形状だけで決まります。この二つをまとめて 断面係数 Z と定義します。

断面係数 Z = I/(H/2) と σmax = M/Z の式
断面係数 Z = I/(H/2);最大曲げ応力は σmax = M/Z で求められる

断面係数を使うと式がシンプルになります。

  • 断面形状が決まれば Z は一定 → あとは M だけで最大応力が決まる
  • Z が大きいほど同じ荷重に対して応力が小さい

長方形断面の断面係数

幅 b、高さ h の長方形断面では、断面二次モーメント I = bh³/12、中立軸との最大距離 = h/2 なので、断面係数は次のようになります。

長方形断面の断面係数 Z = bh²/6
長方形断面の断面係数:Z = bh²/6(幅 b・高さ h)

4. 演習問題1:縦長断面の最大曲げ応力

問題:長さ 100 mm の片持ち梁の先端に 10 N の下向き荷重が作用している。断面形状は幅 5 mm・高さ 10 mm の長方形のとき、最大曲げ応力はいくつか。

解答:

  1. 最大曲げモーメント(根本):M = FL = 10 × 100 = 1000 N·mm
  2. 断面係数:Z = bh²/6 = 5 × 10²/6 ≒ 83.3 mm³
  3. 最大曲げ応力:σmax = M/Z = 1000/83.3 ≒ 12 MPa
演習問題1の答え(σmax = 12 MPa)
演習問題1の答え:最大曲げ応力 σmax = 12 MPa(根本・上面の引張応力が最大)

5. 演習問題2:断面を90°回転させたとき

問題:演習問題1と同じ梁・同じ荷重で、断面を 90° 回転させて幅 10 mm・高さ 5 mm にしたとき、最大曲げ応力はいくつか。

解答:

  1. 最大曲げモーメントは同じ:M = 1000 N·mm
  2. 断面係数:Z = bh²/6 = 10 × 5²/6 ≒ 41.7 mm³
  3. 最大曲げ応力:σmax = M/Z = 1000/41.7 ≒ 24 MPa
演習問題2の答え(σmax = 24 MPa)と断面向きの比較
演習問題2の答え:断面を横に寝かせると σmax = 24 MPa(縦長の2倍)になる

同じ断面積・同じ材料でも、断面の向きを変えるだけで応力とたわみが大きく変わります。縦長(高さが曲げ方向)にすると Z が2倍になるため最大応力は 1/2 に、断面二次モーメント I が4倍になるため最大たわみは 1/4 になります。

項目幅 b・高さ h(縦長)幅 h・高さ b(横長)
断面二次モーメント Ibh³/12hb³/12(1/4倍)
断面係数 Zbh²/6hb²/6(1/2倍)
最大曲げ応力 σmaxM/Z2倍
最大たわみ δmaxFL³/(3EI)4倍

梁を設計するときは、曲げ方向に高さを大きくとる(縦長断面) にすることで、同じ材料量でも強度・剛性を大幅に向上させることができます。I形鋼・H形鋼が実際の構造でよく使われるのも同じ理由です。

まとめ

  • 梁が曲げ変形するとき、断面の図心(中立軸)では曲げ応力 σ = 0 となり、中立軸から離れるほど応力が大きくなる。
  • 曲げ応力の式:σ = My/I(M:曲げモーメント、I:断面二次モーメント、y:中立軸からの距離)
  • 最大曲げ応力:σmax = M·(H/2)/I。最大値は曲げモーメントが最大の断面の最外縁(上面または下面)で発生する。
  • 断面係数:Z = I/(H/2) と定義すると σmax = M/Z。長方形断面では Z = bh²/6。
  • 断面を縦長にすると Z が大きくなり、同じ荷重でも最大応力・たわみを小さくできる。

このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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