材料力学からさらに踏み込む有限要素法(FEM)の教室【応用編】
- 初級編(中級編も推奨)を見終わって、有限要素法(FEM)を使う人向け
- このシリーズで有限要素法を使いこなそう!
有限要素法(FEM)で材料の変形を扱うとき、応力とひずみの関係をどう定義するかが重要です。材料試験の結果を点列(ひずみと応力の値の組)で入力する方法もありますが、荷重の方向が変わったり繰り返し変形が生じたりすると点列では対応できません。そこで応力とひずみの関係を式で表した「材料の構成式(材料モデル)」が用いられます。
この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。演習問題を含む詳細は動画をご覧ください。
1. 材料モデル(構成式)とは
FEMで材料を扱うには、応力とひずみの関係を定義する必要があります。材料試験で得た点列をそのまま使う方法もありますが、点列には次のような課題があります。
- 荷重の方向が変わったり、逆向きの荷重がかかったりすると、点列で定義した範囲外の挙動が生じて計算が不明確になる。
- 弾性・塑性・クリープなどの変形が混在しているため、それぞれの変形量を区別して解釈するのが難しい。
- 試験環境(温度・変形速度)が変わった場合や材料物性のばらつきを扱うことが難しい。
そこで、応力とひずみの関係を式(構成式)で表す材料モデルが使われます。
材料モデル(構成式)のイメージ。材料試験で得られる応力-ひずみ関係を点列ではなく式で表すことで、点列では定義できない荷重状態にも対応できる。
2. 材料モデルの種類と選び方
材料モデルには変形の種類に応じて多くの構成式があります。代表的なものを以下に示します。
- 弾性変形:フックの法則(応力とひずみが線形関係)。
- 塑性変形:多直線近似(応力-ひずみ関係を2直線・3直線で近似)、n乗則(べき乗で曲線近似)、等方硬化・移動硬化(繰り返し荷重時の挙動を定義する硬化則)など。
- クリープ変形:ノートン則など時間依存の構成式。
- 超弾性変形:Mooney-Rivlin、Ogdenなど(ゴムなど大変形でも元に戻る材料に適用)。
- 異方性材料:木材やFRPなど方向によって特性が異なる材料を扱う構成式。
構成式を選ぶ際は、簡単な構成式と複雑な構成式のトレードオフを理解することが重要です。
簡単な構成式と複雑な構成式の比較。複雑な構成式ほど扱える現象が増え精度も高いが、計算時間・物性値決定の手間・結果の解釈難度がいずれも増大する。
まとめ
材料モデルのまとめ。構成式の役割・種類の豊富さ・選び方の指針。
- 材料の応力とひずみの関係を式で表したものが構成式(材料モデル)。点列では扱えない荷重方向の変化や繰り返し変形などに対応できる。
- 材料モデルは塑性変形・クリープ・超弾性・異方性など対象材料の現象に合わせて多数提案されており、目的に応じて選択する。
- 複雑な材料モデルは扱える現象が増えて精度も高いが、物性値決定の手間・計算時間・結果解釈の難度がいずれも増大する。評価したい現象を扱える範囲で簡単な構成式を選ぶことが望ましい。
より詳細な説明や演習問題をYouTube動画で解説しています。ぜひご覧ください。
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