有限要素法(FEM)のフリーソフトCalculixで構造-伝熱連成問題を計算しよう!

zairiki
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これまで Calculix(PrePoMax)を使った構造解析伝熱解析の計算方法を紹介しました。今回は構造-伝熱連成解析、つまり構造と伝熱が互いに影響する現象の計算方法を紹介します。構造解析や伝熱解析単独との設定の違いを中心に解説します。

この記事はYoutube動画で紹介した内容の概要です。詳細は動画をご覧ください。

1. 今回の例題

今回の例題は、壁に固定された片持ち梁を使います。全体が0℃の状態から上面を0℃・下面を100℃に加熱したときの、変形と温度分布を構造-伝熱連成解析で求めます。材料には弾性体を使い、構造解析用(縦弾性係数・ポアソン比)に加えて、熱変形用の線膨張係数と、熱伝導の計算に必要な熱伝導率を設定します。

今回の例題:片持ち梁(長さ100mm・高さ10mm・幅10mm)、上面0℃・下面100℃。材料物性値として縦弾性係数・ポアソン比・線膨張係数・熱伝導率を使用
今回の例題。壁に固定された片持ち梁の上面を0℃、下面を100℃に加熱したときの変形と温度分布を求める。連成解析のため、弾性定数に加えて線膨張係数と熱伝導率が必要になる。
  • 形状:長さ 100 mm・高さ 10 mm・幅 10 mm の片持ち梁(端部固定)
  • 温度条件:上面 0℃、下面 100℃
  • 材料:縦弾性係数 200 GPa、ポアソン比 0.3、線膨張係数 17×10⁻⁶ /K、熱伝導率 60 W/mK

2. 材料物性値の設定

構造-伝熱連成解析では、構造解析用の材料物性値に加えて熱解析用の物性値も設定します。「Materials」→ダブルクリックで材料設定画面を開き、以下の 3種類 を設定します。

PrePoMaxの材料設定:Elastic・Thermal expansion・Thermal conductivityの3種類を設定
材料物性値の設定。構造解析用の「Elastic」(縦弾性係数・ポアソン比)に加えて、熱変形用の「Thermal expansion」(線膨張係数)と伝熱計算用の「Thermal conductivity」(熱伝導率)の計3種類を設定する。
  • Elastic(弾性):縦弾性係数 200000 MPa、ポアソン比 0.3
  • Thermal expansion(線膨張係数):17e-6 /℃(熱変形の計算に使用)
  • Thermal conductivity(熱伝導率):60 mW/mm℃(熱伝導の計算に使用)

3. ステップタイプの設定

構造-伝熱連成解析を行うには、専用のステップタイプを選択します。「Steps」をダブルクリックし、表示されたメニューの中から 「Coupled temperature-displacement step」 を選択して「OK」をクリックします。このステップを使うことで、構造と伝熱の連成計算が実行されます。

PrePoMaxのStep設定:Coupled temperature-displacement stepを選択
ステップタイプの設定。「Coupled temperature-displacement step」を選択することで、構造解析と伝熱解析を同時に計算できる。

4. 境界条件の設定

連成解析では、構造解析用と伝熱解析用の両方の境界条件を設定します。「BCs」をダブルクリックして、構造解析用に「Fixed」(端部を固定)、伝熱解析用に「Temperature」(上面 0℃・下面 100℃)をそれぞれ指定します。

PrePoMaxの境界条件設定:Fixedで端部を固定(構造解析用)。Temperatureで上面0℃・下面100℃を指定(伝熱解析用)
境界条件の設定。構造解析用に端部の「Fixed」固定条件を設定し、伝熱解析用に上面 0℃・下面 100℃の「Temperature」温度条件をそれぞれ設定する。

5. 計算結果:変形

Caliculxでの計算方法は、構造解析単体や伝熱解析単体のときと同じです。計算が完了したら、変形図を見ると、片持ち梁が反り変形していることが分かります。これは下面(100℃)が上面(0℃)より大きく熱膨張するためです。自由端の最大変位は約 0.88 mm です。

計算結果の変形図:下面が大きく熱膨張して梁が反り変形している。初期形状と変形後の形状を比較
計算結果(変形)。初期形状と変形後の形状を比較すると、下面の熱膨張が大きいために梁が上方に反り変形していることが分かる。

6. 計算結果:温度分布

温度分布も確認できます。メニューで「T」(温度)を選択すると温度分布に切り替わります。上面の0℃から下面の100℃まで内部が滑らかに温度変化しており、伝熱解析が正常に行われていることが確認できます。固定端では熱変形が拘束されるため、応力分布(「Stress」→「Mises」)を確認すると根本部分に応力が集中していることも確認できます。

計算結果の温度分布:上面0℃(青)から下面100℃(赤)まで滑らかに温度が変化している
計算結果(温度分布)。上面の 0℃(青)から下面の 100℃(赤)まで内部が滑らかに温度変化しており、伝熱解析の結果が適切に反映されている。

まとめ

まとめ。FEMで構造-伝熱連成解析を行うには、材料物性値と境界条件を構造・伝熱の両方分設定し、ステップタイプに「Coupled temperature-displacement step」を選択する。
  • 構造-伝熱連成解析では、材料物性値を ①Elastic(弾性)・②Thermal expansion(線膨張係数)・③Thermal conductivity(熱伝導率) の3種類設定する。
  • ステップタイプに 「Coupled temperature-displacement step」 を選択することで、構造と伝熱を同時に計算できる。
  • 境界条件は 構造解析用(Fixed など)と伝熱解析用(Temperature など)の両方 を設定する必要がある。
  • 計算結果では変形・変位だけでなく 温度分布や応力分布 も確認できる。PrePoMaxは構造-伝熱連成問題にデフォルトで対応している。

このチャンネルでは、材料力学を学んだり生活に役立てるための様々なコンテンツを用意しています。Youtubeではさらに詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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